ヒグマと出会わないために


■ ヒグマと出会わないために

 最良なのは熊のいるところに近づかないことだが、北海道でアウトドアという場合は殆ど不可能に近い話になってしまう。そういうわけで幾つか注意するべき事をあげてみた。詳しくは知床自然センターにヒグマ対策の情報があるので参考にしてください。熊専門のハンターと一緒に山歩きをしてきた僕の体験からすると納得のいかない部分もありますが多くは賛同出来るものです。

□ ヒグマが頻繁に利用する場所とは

 基本的に@飲み水A食べ物B隠れる場所という三条件が揃っているところには熊が日常的に居着いていると考えてよく、我々に見えないだけである。その地域に生息するヒグマの季節毎の移動パターンを知ることは、ヒグマとの遭遇を避ける上で重要な情報ですが、生息する地域環境により異なり、平地の方が予想しずらいと言えそうだ。どちらにしても@〜Bの条件が揃っている場所は、ヒグマの住み家と餌場が重なっているため不用意に踏み込むと攻撃の対象になる可能性が高くなる。条件が二つから一つと少なくなるほどに危険は少なくなるが野生動物のこと、何が起こるか解らないというのが本音。当然ヒグマの住み家に踏み込むにはそれなりの防衛対策は絶対に必要です。

□ 早春から春

 3月になると早い個体は越冬穴から出る。この季節は標高の低い南斜面や沢沿いに多い。越冬から出て最初に食べるものはミズバショウで、冬眠中にたまった宿便を出すために食べるといわれているが真偽の程は不明。川に出入りする熊が多いのはザリガニ類を探して歩くためという。続いて雪解けが早くフキやセリの仲間が育つ所に移動する。もう一つは大型動物の死体を探して食べるため熊の生息域ではシカの死体には絶対に近づかない事、不用意に近づくと潜んでいたクマが餌を守るために攻撃してくることがあります。鹿の死体が多いのは僕の知っている限りでは一番は渓流沿い、次いで大きな崖下に多かった。

□ 初夏から夏

 シカが出産する場所に、生まれたばかりのシカを狙って出没する。山菜採りに適した場所は、ヒグマもよく利用する。 山岳を持つ地域は避暑と餌を求めて高山帯に移動する個体も出てくる。アリもヒグマの利用する餌なのでアリの多いところでは注意する。高山植物の果実もヒグマの好物です。コケモモなど果実を付ける植物の多いところでは注意しましょう。餌の豊富な沢には周年居着いている個体も多い。見通しの悪い急な曲角に注意を

□ 秋から初冬

 8月末〜11月にかけて鱒や鮭が遡上する川の河口付近、堰堤と魚が溜まりやすい滝等に良く出てくる。市街地に近くても危険度は同じです。果実ではヤマブドウやサルナシの多いところは要注意。ミズナラ等の多いところではドングリが地上に落ちてから現れる事がある。地上に落ちて渋が抜けてから食べに来るという。意外と知られてないがキノコも熊の好物。マイタケ等のある様な所は熊もいる事が多い。不用意に餌場に入らない事。

□ 危険なヒグマを作らないために

 食べ物を野外に放置しない事、ゴミを捨てない事、食べ物や生ゴミは土に埋めても無駄。鋭敏な嗅覚で掘り出してしまう。ヒグマが人の食べ物の味を覚えてしまうと、再びその食べ物を求めて人の居る所に近づくようになり、事故を起こす可能性が高くなる。 知床では人慣れして周りをうろつくヒグマが増えつつあるといい、これを新世代クマと呼んでいるようだが、そういう意味では知床では何時人身事故が起きても不思議ではない。

□ キャンプや野営で気を付けること

 食べ物などの生ゴミなどを捨てたり放置しておくと、ヒグマを引き寄せ、自分だけでなく、後からそこに来る人にまで危険にさらすことになる。食事や料理はテントから離れてしてください。テント内に食べ物の臭いが残っているのは危険です。焼き肉などは臭いが着衣に付くため止めた方が方が良い。食べ物の管理は臭いを断つこと、テントの傍や中に置かないことが必要です。

■ ヒグマと出会わないために
□ 人がいることをクマに認知させる

@行動中は鈴などの利用すると良い、ただ鈴は好奇心の強い熊を呼び寄せる事もあり万能ではない。A停泊中にはラジオなどの利用B遠距離の時には爆竹が効果的なこともあるが近距離では危険という話もある。試したことは無く断定は出来ないが・

□ ヒグマと遭遇しやすい条件

 地形の条件と気象条件、季節など複雑になるがこんな時には注意を@夜間や早朝A霧や日暮れの時間帯B沢沿いC急カーブD雨の日E風の強い日等におきやすい。

■ 出会ってしまったときの対処法
□ ヒグマの気配を感じた時は

 大きな動物が動く気配がして、その後静かになったり、強烈な獣臭いなどある時は、ヒグマが隠れてやり過ごそうとしてる可能性があります。距離にもよりますが引き返したほうが賢明です、ただ中には背後から襲れた事例もあり十分に注意するように。クマに対する訓練を受けている犬以外を連れて行くのは危険な事があります。子グマには近づかない事、親が近くに必ずいます。不用意に近づけば、母グマの攻撃に遭うことになる。ヒグマとの遭遇で一番事故の多いパターンかもしれません。

□ クマと出会ってしまった時は

 距離が離れてクマがこちらに気付いていないには気付かれないように、その場から離れましょう。クマが人に気が付いているが行動を起こさない時は、クマの様子をみながら静かにゆっくりと、その場から離れましょう。落ち着いて冷静に行動してください。

□ クマが異常接近をしてくる場合。
◆ クマが近づいてくる時@

 人間が居る事に気付かずに来ている可能性があるので、クマに人が居る事が判るように大きく腕をふりながら、声をかける。

◆ クマが近づいてくる時A

 人が居るのを知ってもなお近づいて来るときは、興味本位または捕食目的で近づいている可能性もあり、その時は車内や屋内などに退避する。クマが興味を持ちそうな物を置き距離を稼ぐ。

◆ クマが近づいてくる時B

 クマが明らかに人を意識しながら接近を続け、逃げ切れそうにないときはクマの興味をそらす。常に首にタオルを巻いておき体臭の染み込だタオル投げてクマの関心をそらすのはかなり有効な方法です。タオルに関心を奪われている間に熊との距離を広げられ待避できる事が多い。タオルは常に首に巻いておく事。

◆ クマが近づいてくる時C

 それでも執拗に近づいて来て、逃げ場がなく、逃げ切れそうになければ、強気に対応するしかない。自分を大きく見せる、大きな声と音で威嚇、クマスプレーの噴射の準備と武器の用意をする。あとは徹底して抵抗するしかない。場合死んだふりは通用しないと思った方が良い。実際に反撃する余裕があるかは疑問。

□ 突発的な遭遇

 沢の曲がり角などで出会い頭で、クマがのっそりとひょっこり出てくる、立ち上がるとかする事がある。その場合はとにかく落ち着いて対応すること。静かに行動しそばに障害物(立木など)があれば熊との間に挟む。絶対に走らない事、あとは先に書いたBCと同じ対応で、多くの場合は熊の方から去るが攻撃に出る事もある。突発的な遭遇は不注意が原因で起こることが殆ど。

□ クマが攻撃に出た場合

 突進してくる時点で、威嚇なのか本当の攻撃見分けることは困難だしその余裕も無いと思って良い。どちらにしてもクマスプレー噴射準備と武器の準備は必要。突進が止まらず3〜4mの距離まで迫ったらクマスプレー全量をクマの目と鼻に当たるように一気に噴射する。但し突発的な出逢いではその余裕は無いく、殆ど気休めに近いが無いよりは有った方が心強い。熊に襲われた時に倒れて防御姿勢を取ると良いとする考えもあるが、統計的なデータも無く根拠は曖昧、威嚇目的だけなら助かる可能性はあるが、それ以外の攻撃の時は疑問。僕ならば徹底的な反撃をするのだが、どうするかはご自身の判断でしてください。

□ 最後に

 僕と良く山歩きをしたハンターの話によると、ヒグマはやられた相手を覚えていて報復する個体も居るともいっていた。ヒグマは際だって学習能力の高い日本では陸上最強の哺乳類なのである。最良の防御法は一にも二にも出会ないことにつきる。ヒグマの生息圏に入る以上は、まずヒグマに会わずに済ます為の知恵と情報を可能な限り集めてからにしてください。


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